投資見通し
5つの2025年の
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セクション3:2025年の5つのテーマ
- 公募債・私募債市場のリターンを押し上げるのはリスクフリー金利でなく、相対的なスプレッドの差異と銘柄選別。
米連邦準備制度理事会(FRB)も大半の国の中央銀行も、緩和モードにあることは確かです。しかし、FRBは根強いインフレと緩和的な財政政策に対処する必要があるため、利下げペースは従来予想以上に緩やかなものとなり、ターミナル金利は予想より高い水準になるとNuveenではみています。Nuveenの予想は、2025年末のフェデラル・ファンド(FF)金利が3.75%-4%程度、10年物米国債利回りは4.5%近く、というものです。つまり、債券投資においては、デュレーションよりも、相対的なスプレッドの優位性と入念な銘柄選別に集中することでアルファ創出を目指すべきでしょう。
こうした新たな局面に入り、私たちは、より高い金利がより長く続く環境から恩恵を受ける資産担保債(特に総合指数に含まれていないセグメント)やシニア・ローンなどを通してクレジット・エクスポージャーを分散すべきと考えます。より全体的には、特にキャッシュや国債との相対ベースで、さまざまな債券セクターに有望な投資機会を見出しています(下記図表)。
プライベート・クレジットも、依然としてインカム・ゲインを求める投資家にとって重要です。投資家からの関心は引き続き高く、強い需要もあって取引量は増え続けており、M&A活動は2025年に増加して追い風となるでしょう。Nuveenでは特に、ミドルマーケット・ローンと、市場の中でよりディフェンシブな分野を選好しています。 - 不動産市場は既に底入れした。
2025年のNuveenのヒートマップにおける最大の変化は、不動産市場は底入れしたとの見方に基づき、プライベート不動産をオーバーウェイトに変えた点です。長い間このアセット・クラスの頭を抑えてきたテクニカル要因の逆風も解消しつつあるようにみえます。世界的な金利上昇はほぼ過去のものになっており、それはプライベート不動産にとってはプラス要因です。また、プライシングを巡る透明性は増し、スポット市場は安定しています。同時に、投資家需要も増しています。商業用不動産の融資も成長しており、全体的な流動性は改善しています。
多くの報道では、オフィス不動産の高い空室率が騒がれていますが(また、確かにオフィス・セクターは厳しい状況が続いています)、物流セクターやオルタナティブ・セクターなど、他の市場では投資機会がふんだんに見られます。また、上場REITも、バリュエーションやファンダメンタルズ、収益性が妥当ないしポジテイブな水準であり、魅力的です。 - 電力需要は発電能力を上回る勢いで伸びており、新規インフラ投資の機会が出現。
少なくとも、爆発的なAIブームのおかげで電力需要も指数関数的に伸びています。しかし、新規発電能力は需要に追いついていません。また、同じ様に不可欠な送電インフラも需要に後れを取っています。私たちが今後も構造的なインフレを予想するのはそれが一因ですが、一方でそうした状況は投資機会も生み出します。
それは一部、米国も含め、世界の太陽光発電や風力発電インフラなどグリーン・エネルギーへの継続投資が促進されるからです(米国では政権交代はありますが、今後も資本は収益を生み出す投資に向かい続けるでしょう)。さらに、原子力発電や、地域の新規送電施設、天然ガス関連投資や、急速なデータ・センターの開発などに対する需要も伸びると予想されます。
それに関連してNuveenでは、商業用不動産評価クリーン・エネルギー(C-PACE)ローンなどの制度も含め、エネルギーのアップグレードに必要な資金を調達するエネルギー関連の投資にますます機会を見出しています。 - デュレーション重視の投資家には、依然として米国地方債を推奨。
最初のテーマではまず、デュレーションの長期化には注目しないことを明らかにしましたが、1つ重要な例外があります。それは米国地方債です。米国地方債のイールドカーブは米国債よりもスティープ化しており、クレジット・ファンダメンタルズも堅調であるため、米国地方債への投資によって、ポートフォリオ全体のデュレーションを長期化させることは合理的であると考えます。
全体的に、米国債よりも米国地方債の方が魅力的にみえます。連邦政府の抜本的な財政改革はまだ遠い話で、財政赤字もかなり深刻です。対照的に、米国地方債の発行体のクレジット・クオリティは良好です。さらに、市場が拡大して米国以外の機関投資家の間でクロスオーバー投資が増え、米国地方債のアセット・クラスへのアロケーションが増えるにつれて、米国地方債の需要も純発行額も増えるでしょう。最後に、当社の第3のテーマに関連して、喫緊に必要とされているインフラ支出の重要な資金調達方法としてプロジェクト・ファイナンスが成長するにつれ、税に敏感な投資家は今後も、これら利回りが相対的に高い発行体に融資をし続けると思われます。 - 小型株も大型株に負けないパフォーマンスを示す可能性。
最後のテーマは一部、2024年の大統領選挙結果を受けた米国政治環境の変化に基づくものです。他の条件がすべて同じであれば、政治的な変化によって法人税が引き下げられ、規制が緩和され、貿易は保護主義的になるでしょう。こうした動向はおそらく新たな資本支出サイクルをもたらし、米国小型株にとって追い風となります。
米国小型株の企業利益も回復を望むのは期待しすぎかもしれませんが、小型株はこれまで総合株式市場をアンダーパフォームしており、バリュエーションの面で妙味があります。たとえ企業利益がそれほど変わらなかったとしても、バリュエーションが拡大して株価が上昇する可能性は高いといえます。
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