2024年3月21日
EQuilibrium
より長くより高い
より長くより高い
金利環境下、
保険会社は
戦術的に配分変更
当社の年次EQuilibrium機関投資家調査最新版では、世界中の保険会社220社以上(および580社近くの他の機関投資家)がそれぞれの見解を共有しています。
マクロ環境ならびに資産配分から、持続可能性とエネルギー移行まで、この調査では、さまざまな観点からこれら保険会社が5.7兆ドル以上の資産をどう運用するのか、新たな洞察を明らかにしています。
2024年に入り明白な3つのトレンド、それは、戦略的ではなく戦術的な資産配分の変更、継続的なオルタナティブ需要、そしてサステナビリティ投資の焦点が言葉だけでなく行動に移っていることです。
1. 戦略的でなく、戦術的な資産配分の変更
戦略的資産配分に根本的な変更を加えている保険会社は5社に1社(21%)にすぎず、2023年調査時の3分の1(31%)からかなりの減少がみられます。2024年の調査では、戦術的な配分に大幅な変更を行う比率の方が32%と上回っています。
データを深く掘り下げると、これらの変化は小さな変化であることがわかります。保険会社は、より高い金利環境に合わせて2023年にポートフォリオに大きな変更を加えていたようです。今では保険会社は、より質の高い投資、より高い水準での利率固定、デュレーション延長、流動資産を追加するための上場商品への投資など、さまざまな機会を活用しています。
投資適格債を増やしているとの回答は半数近くに上り(47%)、非投資適格債を減らしているとの回答は30%でした。投資適格債の中では、社債と国債がトップの選択肢であり、プライベート債の中ではプライベート・インフラ債がトップの選択肢となっています。
足元の環境に合わせて多くの投資家が債券の配分を調整していますが、貴社は今後2年間にどのような方向で変更を行う予定か教えてください。(保険会社224社が回答)
2. オルタナティブ需要が継続
昨年はオルタナティブ投資への関心が急激に高まりましたが、その後も堅調な需要が続いています。サブセクター全体で配分を減らすよりも増やす保険会社が増えており、プライベート・インフラ、プライベート・クレジット、プライベート・エクイティが最も選択されています。
調査データでは、需要が2023年の高い水準から前年比で減少していることが示されていますが、重要なのは長期的な傾向は依然として上向いていることです。2023年のデータは、急速に変化する金利に対応してより多くの保険会社が戦略的配分を大幅に変更したことを反映していたと考えられます。2024年に入り、金利環境もやや落ち着きを取り戻し、上述の通り、もっと細かい資産配分の調整に焦点が当てられるようになっています。
2023年は一部の保険会社にとって、インフラに必要なだけの資本を投入することは容易ではありませんでした。Nuveenの親会社であるTIAAの状況も同様でした。移行的なエネルギーインフラが以前よりも注目されるようになった理由の1つは、インフラ内における相対的な価値追求の動きです。
オルタナティブ投資において、今後2年間で配分をどのように調整する予定かを教えてください。(保険会社224社が回答)
3. サステナビリティ投資の焦点は
言葉でなく行動に
2023年の調査では、世界の保険会社の91%が、投資判断において環境、社会、ガバナンス(ESG)要素を考慮するか、検討する予定だと回答していました。2024年には、その数値は86%にわずかに低下しました。
消極的になっている北米の保険会社もあります。しかし、欧州は依然として気候変動リスクを認識するとともに、ネットゼロに取り組み、インパクト投資とエネルギー移行への投資を行うなどしてサステナビリティ投資をリードしており、アジア太平洋地域の保険会社もそれに続いています。
資金の配分状況を見ると、エネルギー移行投資が3つの地域すべてで関心を集めていることがわかります。つまり、ESGの逆行を巡る政治的な主張や多くの機関投資家や政策立案者からの異なる見解はあるものの、世界中の保険会社は今も持続可能性と低炭素経済への移行機会を追求し続けているのです。
貴社がすでに投資している、または今後5年間に投資する予定のテーマ別領域をお答えください。(保険会社224社が回答)
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